—— まず、STARTiX立ち上げのきっかけから教えていただけますか?
はい、ありがとうございます。きっかけは、僕が東京で開催されたビジコンに参加したことでした。そこで企業の方と1on1で話す機会があって、「筑波大には起業サークルがないなら、作っちゃえばいいじゃん」と背中を押されたのが大きかったです。
当時の筑波大学には起業サークルが存在せず、つくばという街も研究施設こそ多いものの、学生と企業との交流はほとんど進んでいませんでした。「挑戦したくても環境がない」──そんな現状に直面し、僕は自ら環境を作るしかないと思ったんです。
さらに、東京のビジコンや学生団体に参加したときに感じたのは、「環境の違いによる熱量の差」でした。自分の周りに熱い仲間がいなければ、自分自身の情熱も薄れてしまう。だったら、自分で仲間を集めて、エネルギーを高め合える場を作ろうと決めました。それが、STARTiX立ち上げの原点です。

—— 具体的にはどんな活動をされていますか?
現在、起業に興味がある学生が集まり、自分自身だからこそ見えている課題の深掘りを行っています。最終的には外部のインキュベーションプログラムに応募することを目標に、その前段階となる事業計画づくりや課題検証をサポートするプログラムを団体内で設けています。現在は16人ほどのメンバーがいて、月に3回ほどの活動を行っています。
—— 小峯さんご自身のバックグラウンドについても少し教えてください。
高校時代はアメリカへの留学を経験しました。今は筑波大学の2年生で、起業に向けて現在は休学中です。インターンではAIエージェント系のプロジェクトにも関わっていて、時代の変化と個人の能力がますます重要になると感じています。
—— 団体として掲げているビジョンは何ですか?
一番大きなビジョンは、「地方の学生が自由に仲間と挑戦できる環境を学生の手で創る」ことです。僕がアメリカに行ったとき、「君は何がしたいの?」と何度も聞かれる機会があって、自分の意思を口にすることの大切さに気づかされました。ところが、日本に戻ると「こうしたい」と声に出すことすら躊躇してしまうような空気がある。「出る杭は打たれる」という風潮の中で、夢や想いを語ること自体が難しくなっているのだと感じました。
だからこそ、企業を目指すかどうかに関係なく、「自分はこうしたいんだ」と安心して言えるような空間を作りたかったんです。夢を語れること、仲間と挑戦できること、それこそが学生時代の原動力になると信じています。そんな環境を、自分たちの手で創り上げる──それがSTARTiXのビジョンです。
—— ご自身のビジネスとしてのビジョンもあれば教えてください。
個人的には、メンタルヘルスケアに強い関心があります。一人暮らしで孤独を感じやすい大学生が多い中で、「今ある幸せ」と「自分の個性」に気づき、仲間と自由に挑戦できる世界を作っていけたらいいなと思っています。そのために、自己肯定感を育てる仕組みや、スマホ以外のデバイスを使った自分と向き合うためのアプリの構想も考えています。

—— これまでの活動の中で印象に残っている成功体験や失敗談を教えてください。
成功体験としては、小学生の時にキャプテンとして全国準優勝した野球の思い出、友人4人と参加したビジコンで3位に入賞したことです。この二つは、仲間と本音でぶつかって、それぞれが強みを発揮できた結果、何かを成し遂げたという大きな経験でした。
一方で、失敗体験は数多くあります。たとえば、議論会やアプリ開発のプロジェクトでは、目的の不明確さや技術不足から、うまく形にすることができませんでした。「これでいけるんじゃないか」と手応えを感じた企画も、見切り発車になってしまっていたんです。
また、個人的に最も後悔しているのは、野球をやめたことです。小学生の頃から夢中で取り組んでいた野球を、中学3年で肘の痛みを理由にやめてしまい、高校からはバドミントンに転向しました。当時は「野球肘だから仕方ない」と思っていましたが、今振り返ると、気持ちの弱さから逃げてしまった部分もあったと思います。本当は治そうと思えば治せたし、もっとやりきれたはずだった。その選択が「やりきれなかった」という自分の中の後悔として強く残っています。
—— つらい経験をどう乗り越えてきたのでしょう?
読書の力は大きかったです。特に中国の歴史書や心理学の本から、考え方や困難の捉え方を学びました。こういう歴史に名を残す偉人でも、何かつらい経験だったり、困難な状況にあるんだなというのを見て、そこからどうやって考えていくのか?どう捉えているのか?という観点を自分でも取り入れるようにしました。これは誰かが与えた試練だから何か乗り越えたらいいことあるんじゃないかみたいな、自分の考え方を変えることによって乗り越えたと思ってます。
—— 最後に、学生や社会人に向けてメッセージをお願いします。
学生の皆さんには、「自分と向き合う時間の価値」を知ってほしいです。今の時代、大企業に入ったからといって安泰という時代ではありません。ますます個人の力が問われる社会において、自ら課題を見つけ、主体的に行動した経験は、何にも代えがたい価値になります。起業まではしなくても、自分なりの視点で社会課題と向き合い、動いてみる──その体験こそが、自分自身を強くするのだと思います。そして社会人の皆さんには、ぜひ学生の可能性に目を向けていただきたいです。私たちにとって、事業内容の壁打ちや活動資金のご支援は、挑戦を後押しする大きな力になります。
未来を創っていくのは、学生の情熱と、それを信じて支えてくれる大人たちの存在だと信じています。