—— 学生団体「Dream of Hub.」は、どのような思いから始まったのですか?
大学3年生のとき、広告代理店でのインターンを通じて社会の構造や人の価値観に触れました。母が不動産業をしていたこともあり、社会のリアルを肌で感じる経験も重なりました。その中で、「本当に自分のやりたいことを貫く」という大切さに気づいたんです。
就職活動では、実は全企業に落ちてしまったんです。でもその原因は、どこかで“取り繕っていた”自分がいたから。本心ではない「安定」や「周囲が良しとする道」に流れていたんですね。だからこそ、学生に向けて、自分の意思を持ち、自分らしく進むことの大切さを伝えたいと思うようになりました。
—— 具体的にはどんな活動をされていたのでしょう?
一番注力してきたのは「学生の育成」です。就活エージェントに入れる子は情報をキャッチアップできるけど、そうではない子はなかなかキャッチアップしづらい、というこの情報格差や就活格差に悩む学生が多い中で、必要な知識や社会経験を早い段階で得られる環境を作ろうと思いました。
また、企業するにしても専門知識や必要な情報をキャッチアップできていなければ戦えないので、できるだけ早くから学生に伝えて、活躍できる引き出しを増やしてもらいつつ、実践的な力を養っていくことが目的です。
—— 今後のビジョンについて教えてください。
来年には法人登記を予定しています。現在はその準備として、オンラインサロンを立ち上げ中です。ここでは、より少数精鋭で密なサポートが可能な体制を整えたいと考えています。たとえば「何かあったらすぐに相談できる」ようなバックアップ環境を整備することで、学生が安心して挑戦できる場を提供していきたいです。
また、売上高としてはまず「3億円」を一つの目標としていますが、それは単なる数字ではなく、支えてくれた仲間への還元の象徴です。上場や拡大志向ではなく、あくまで「学⽣から愛されるクローズドな組織」を目指したいと考えています。
—— 活動の中で、特に印象に残っている失敗はありますか?
資金繰りの甘さです。月別収支計画やコストの設計が不十分だったことから、思ったように回らないことが何度もありました。また、予想と違う展開になったときに備える“柔軟な設計”もできておらず、そこは大きな反省点です。
—— 逆に、成功したと感じるエピソードはありますか?
組織の中で独立を促す体制を作れたことですね。今の団体は三層構造になっていて、第二層のメンバーにはいずれ独立してもらうことを伝えていました。そして、最近初めて自らの事業を立ち上げたメンバーが現れて、それは今まで向き合い続けてきてよかったなと思いました。
その成功の裏には「絶対に見捨てない姿勢」があったと思っています。現状何に困っていて、どのくらいのレベルだったらクリアできそうか、達成できそうかっていうのをしっかりヒアリングしてあげる。
そして、失敗しても一緒に向き合い、レベル感に合わせてもう一度スタートすることで、徐々に「できることが楽しい」と思えるような成長の土壌を育ててきました。
—— 精神的にもとても強い印象を受けますが、どうやってその力を養ってきたのですか?
そうですね、サッカーを長年続けていたこともあり、ある程度の精神力は自然と身についた部分もあります。でも、最も大きかったのは、大学3年生のときに経験したうつ病です。当時は新規事業の副責任者を任され、責任の重さとプレッシャーで心身ともに追い込まれました。一度、完全にメンタルを崩したことで、「自分ひとりで抱え込まないこと」の大切さを実感しました。
そこからの回復過程で、仲間や顧問のような存在がどれだけ心の支えになるかを学びました。僕は今でも「プレイヤーになりすぎない」ことを意識しています。リーダーが全てを背負いすぎると、組織はうまく回らない。だからこそ、信頼して任せる勇気を持つことが、組織を強くする鍵だと感じています。
もうひとつ、精神的な転機となったのが、同じく大学3年生のときに広告代理店でインターンをした経験です。そこの社長が元Apple Japanの方で、「面接?何それ、自分の価値観に合う会社に行けばいいじゃん」と本気で言えるような人だったんですね。彼との出会いで、日本社会にある「こうあるべき」みたいな固定観念のネジが一つ一つ外れていった感覚がありました。ネジを緩めていくことで、より自由で、本質的な発想や自分らしい価値観が芽生えてきた。その影響が、今の自分を形作る重要な土台になっています。
—— 最後に、全国の大学生や経営者に向けて、メッセージをお願いします。
学生には「自分の意思を貫いてほしい」と伝えたいです。親や世間の声に惑わされず、「自分が何をしたいか」をとことん考えて、信じて進んでほしいですね。自分は、何をやりたいかというのをしっかり考え抜いて、考え抜いたものを自分なりに正解にして進んでいくことができれば僕は素敵なことだと思っています。
経営者の方々へは、学生を「コンフォートゾーン」から一歩を踏み出した「チャレンジゾーン」に導いてほしいということです。過度な期待や負荷を与えすぎると「パニックゾーン」に入って思考が止まってしまいます。だからこそ、個々の能力や状態をもっと見極めて、「チャレンジゾーン」をそれぞれに提供してあげることができれば、会社としての母体はもっともっと大きくなると思います。
個々に合わせた成長機会を与えていただけると、より多くの若者が離職せず活躍できるようになると信じています。