—— この団体の立ち上げのきっかけを教えてください。
大学入学前から「いつか起業したい」という思いがずっとありました。でも、埼玉大学に入ってみたら、そうした志を共有できるようなサークルがまったくなくて。去年はなんとなくフットサルサークルに所属し、塾講師のバイトをしていましたが、ふと「このままでいいのか?」と自分に問いかけるようになったんです。
そんなタイミングで、文部科学省主催のアントレプレナーシップ育成プログラムに出会いました。全国から200人の学生が集まる中、20人もの埼大生が参加していたと知って、「これは埼玉大学にも需要がある」と確信しました。だったら、自分がそのプラットフォームをつくろう。そう決意して、仲間とともにVenture Gateを立ち上げました。
—— どんなビジョンを描いていますか?
「埼玉大学といえばアントレプレナー」と言われるくらい、起業マインドが根付いた大学にしたいんです。東大や慶応のように“看板”となる学部やブランドがありません。でも、だからこそ、我々がその第一人者になろうと。埼大から起業家が次々と生まれる土壌を育てる、それが僕たちの挑戦です。
また、団体のことで言うと、選考制を導入しており、実績よりも熱量を重視しています。既存のメンバーが8人いて、まずはそのメンバーが“本物のアントレプレナー”として育つことが第一。僕自身の経験や知識を共有し、価値観を揃えていくことに力を入れています。
将来的には、1期生8名が2期生30名を育て、さらにその先の世代へと循環していく構造をつくりたいです。焦らずに、まずは内側の強化を進めています。

—— その価値観はどこから生まれたのでしょう?
高校時代、進路を決める時期にふと疑問が湧きました。「夢があって、その逆算で進路を選ぶべきなんじゃないか?」って。そんな折、久々に訪れたディズニーランドで衝撃を受けたんです。自分は待ち時間や物価の高さにげんなりしていて、楽しいは楽しいけれどどこか違和感がありました。でも周りを見たら、みんな本当に笑顔でした。そこでふと気づいたんですよ、「自分は、人が笑っているのを見るのが何より嬉しいんだ」って。
そこから“人の笑顔を創りたい”というのが自分の軸になりました。誰かのために、誰かの笑顔のために、自分ができることを選びたい——そういう思いが今の活動につながっています。
—— 活動の中で、苦しかった経験や挫折はありますか?
正直、大きな失敗と思うようなことはあまりないんです。むしろ、すべてが学びだと捉えています。でも、強いて挙げるなら、大学受験のときに苦手科目から逃げていたこと。そこから「逃げる自分もいる」という事実を学べたのは大きかったですし、それをどう乗り越えるかを今の活動に活かしています。
それに、最近もプライベートで大変な時期がありました。友人関係のトラブルやスマホの乗っ取りなど、立て続けに起きて。でもそんなとき、僕は必ず目を閉じて、自分の“理想の未来”を思い描くようにしているんです。たとえば、自分が創るテーマパークの最上階のオフィスから、笑顔であふれる園内を見下ろしているシーンを想像すると、自然と元気が湧いてくるんですよね。
—— では逆に、特にやりがいを感じた瞬間はありますか?
設立から2か月ほどですが、初めて参加したビジネスコンテストで、あるメンバーが主体となって考案したプランが準決勝に進出しました。彼は以前はビジネスには無縁の生活をしており、もちろんアントレプレナーにも興味がない状態でした。でも、うちのコミュニティに入って徐々に変わっていきました。自分も簡単にフィードバックをしましたが、何より自分が作った環境そのものによって彼が変わったと思っています。
その姿を見て、「この団体を作ってよかった」と心から思いました。新たな価値観に触れ、人生の可能性を広げる場所。それがVenture Gateの存在意義なんだと実感しました。
—— ここまでのことを踏まえて、読者に一番伝えたいことを教えてください
「わくわくする人生を選んでいい」ということです。なんとなく就職するのではなく、もし心のどこかに「違うかも」と感じているなら、別の選択肢を考えてもいいと思います。就職、公務員、そして“起業”という第三の選択肢があることを知ってもらいたいです。
アントレプレナーシップは、企業を興すことに限らず、自分のアイデアを実現しようとする力。組織の中で新しいことに挑戦することも、立派なアントレプレナーだと思っています。
—— 今後の目標や資金計画はありますか?
ゆくゆくは、埼玉大学全体を巻き込んだアントレプレナー文化を創りたいと思っています。その一環として、学内でのビジネスコンテストを主催したいと考えています。でも、そのためには資金が必要です。現在は協力企業から知識やアドバイスをいただいていますが、スポンサー獲得にはまだ課題があります。
遠征費やユニフォーム制作費なども含め、年間100万〜150万円程度の資金が必要です。今はすべて自費でまかなっていますが、応援してくれる方がいればぜひ力を貸してほしいです。資金だけでなく、講話やネットワーク支援も大歓迎です。
—— 最後に、社会人や読者に向けたメッセージをお願いします。
「何か違うな」と思いながらも、無理に働き続けている人がいたら、ぜひ一度立ち止まってみてほしいです。お金を得るためだけに生きるって、もったいないと思うんですよ。せっかくの一度きりの人生なんだから、楽しみながら、自分らしく稼げる道を探してみてほしい。
僕は、誰もが“主人公”であるべきだと信じています。子どものころ、鬼ごっこやかくれんぼに夢中になれたのは、自分が主人公だったから。大人になると現実が見えてきて、その感覚を忘れてしまいがちですが、もう一度“自分が物語の主役なんだ”って感じられるような社会にしていきたい。
そんな世界観を体現するテーマパークも、仲間と一緒に構想中です。主役になる勇気を、僕たちの活動から少しでも受け取ってもらえたら嬉しいです。